日本の製造業や自動車補修、精密加工の現場を長年支えてきた「水研ぎペーパー」。その多くに使われてきた炭化ケイ素(C砥材)が、今、法規制と健康リスクの観点から大きな転換期を迎えています。なぜ今、使い慣れた炭化ケイ素からの脱却が求められているのか。そして、現場の生産性と作業者の安全を高い次元で両立する新たな選択肢とは何か。研磨材の歴史と最前線のソリューションを解説します。

理研コランダム W34P
理研コランダム W34P 基材側写真

目次

  1. 1. 炭化ケイ素(C砥材)と「水研ぎ」の深い関係
  2. 2. 現場が直面する課題:炭化ケイ素と法規制への対応
  3. 3. 注目される「アルミナ(WA砥材)」の安全性
  4. 4. 理研コランダムの提案:【W34P】耐水研磨紙シート
  5. 5. 仕様一覧(#80〜#2500 フルラインアップ)
  6. まとめ:安全と品質を両立する「信頼のパートナー」
  7. 参考資料

1. 炭化ケイ素(C砥材)と「水研ぎ」の深い関係

炭化ケイ素(C砥材)は、長年にわたって耐水ペーパー(水研ぎ)の主役として圧倒的なシェアを誇ってきました。それには物理的・化学的に明確な理由があります。

研磨材の砂サンプル

① 圧倒的な硬度と切れ味

ダイヤモンドに次ぐ硬度を持ち、結晶粒子が非常に鋭利。軽い力でも金属・プラスチック・塗装面など幅広い素材をスムーズに削れます。

② 高い自生作用

摩耗した刃先が適度に砕けて新しいエッジが自動的に現れる「自生作用」により、切れ味が長続きします。

③ 水研ぎとの高い親和性

水で削りカスを洗い流しながら自生作用が最大限に活き、目詰まりを防ぎながら均一で美しい仕上げ面を実現します。

2. 現場が直面する課題:炭化ケイ素と法規制への対応

これまで優秀とされてきた炭化ケイ素ですが、労働安全衛生法の改正により、現場での取り扱いに新たな対応が求められるようになりました。

労働安全衛生法改正による規制指定

2024年4月より、炭化ケイ素(SiC)は「リスクアセスメント対象物質」および「がん原性物質」に指定されました。研磨作業中に発生する微細粉塵や繊維状の粒子(ウィスカー)の長期的な吸入については注意が必要とされており、作業環境の適切な管理や保護具の使用が求められています。

パソコンを見て動揺する経営者

この規制への対応として、安全基準の厳しい大手自動車メーカーや精密機器工場、独自の安全衛生基準を持つ企業を中心に、炭化ケイ素系研磨材から安全な他素材へ切り替える動きが広がっています。

3. 注目される「アルミナ(WA砥材)」の安全性

この課題に対して注目されているのが「アルミナ(酸化アルミニウム/A砥材・WA砥材)」です。炭化ケイ素と比較して人体への影響リスクが低く、現行の法規制対象外として安全に取り扱うことができます。

炭化ケイ素(C砥材)

・切れ味・自生作用に優れる
・がん原性物質に指定済み
・リスクアセスメント対応が必要
・SiCフリー化の動きが加速

アルミナ(WA砥材)✓ 推奨

・人体への影響リスクが低い
・現行法規制の対象外
・靭性が高く耐久性に優れる
・水研ぎ・空研ぎ両対応

4. 理研コランダムの提案:【W34P】耐水研磨紙シート

1935年の創業以来、日本の「削る・磨く」をリードしてきた理研コランダム株式会社が提供する【W34P】耐水研磨紙シートは、安全性の課題をクリアしながら高い研磨力を維持した次世代のスタンダード製品です。

理研コランダムW34P 製品画像

製品特長

WA砥粒(ホワイトアルミナ)を使用しており、靭性(粘り強さ)が高く破砕しにくい設計です。強い研削力と優れた耐久性を発揮し、水研ぎ・空研ぎのどちらでも性能を落とさずに使用できます。

対応作業目的

バリ・キズ取り 溶接ビードの除去 サビ・汚れ落とし 塗装面の研磨 黒皮・皮膜の除去 精密仕上げ研磨

自動車・金属・木工など、あらゆる分野の研磨作業に対応。炭化ケイ素からのスムーズな移行を実現します。

5. 仕様一覧(#80〜#2500 フルラインアップ)

従来のアルミナ製研磨紙では難しかった「極粗研ぎから超精密仕上げまで」を、隙間のない粒度構成でカバーしています。これにより、炭化ケイ素(C砥材)からの完全なSiCフリー化を支援します。

商品コード 粒度 サイズ(mm) 小箱(枚) 大箱(枚)
R39079#80230×280100500
R39064#100230×280100500
R39066#120230×280100500
R39068#150230×280100500
R39070#180230×280100500
R39072#220230×280100500
R39073#240230×2801001000
R39075#320230×2801001000
R39076#400230×2801001000
R39077#500230×2801001000
R39078#600230×2801001000
R39080#800230×2801001000
R39065#1000230×2801001000
R39067#1200230×2801001000
R39069#1500230×2801001000
R39071#2000230×2801001000
R39074#2500230×2801001000

まとめ:安全と品質を両立する「信頼のパートナー」

理研コランダムは、理化学研究所の技術を基に生まれた歴史を持ち、JIS規格に準拠した厳しい自社品質基準を確立しています。現在はオカモトグループの一員として、より強固な品質・供給体制を誇ります。

法改正や安全基準の厳格化が進む現代の製造現場において、作業者の健康を守りながら従来以上の生産性を維持する――。理研コランダムの【W34P】耐水研磨紙シートは、これからのクリーンで安全な研磨環境を支える、最も信頼できるパートナーとなるはずです。

参考資料

本記事で解説した法規制・取り扱い基準は、以下の公的機関が公開している一次情報に基づいています。

厚生労働省 職場のあんぜんサイト|炭化けい素ウィスカー

化学物質としての安全データ、取り扱い基準、実験結果が網羅された詳細データベース。

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/409-21-2.html

環境省 化学物質ファクトシート|炭化けい素

炭化ケイ素の基礎知識から人体・環境への影響、国内での法規制状況が分かりやすくまとめられています。

https://www.prtr.env.go.jp/factsheet/factsheet/pdf/fc00667.pdf

国際労働機関(ILO)|国際化学物質安全性カード ICSC 1061

世界的に認められた安全性カード。現場での取り扱い上の注意点が確認できます。

https://chemicalsafety.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_lang=ja&p_card_id=1061&p_version=2