JPCA展示会内容
JPCA2026展示会の様子

JPCA Show 2026(電子機器トータルソリューション展)は、一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)などが主催する、電子回路・実装技術、半導体パッケージ、次世代通信、センサー技術などが集結する国内最大級の専門展示会だ。2026年のテーマは「テクノロジーのてんこもり!─半導体から電子機器まで─」で、製造プロセスの自動化・省人化を推進する最新ソリューションが多数披露された。本記事では、プリント基板(PCB)製造に不可欠な「磨く」技術と周辺工程の自動化技術に焦点を当て、各社の出展内容を現地取材レポートとしてお届けする。

目次

  1. プリント基板製造における「磨く」工程の課題と変遷
  2. PolishingHub参画企業 取材レポート
  3. 別枠取材レポート(周辺工程・最新テクノロジー)
  4. 半導体産業展における技術動向
  5. まとめ

プリント基板製造における「磨く」工程の課題と変遷

プリント基板(PCB)の製造プロセスは、銅板へのレジスト塗布、回路配線の形成、スルーホールの穴あけなど、極めて多くの複雑な工程で構成されている。この一連のプロセスにおいて「磨く」工程は、基板の均一な厚み出しや、穴あけ時に発生する金属バリの除去など、製品の最終的な導通信頼性を左右する決定的な役割を担う。

展示物の様子

プリント基板の研磨技術を知る上で、押さえておくべき変遷がある。かつての現場では「ベルト研磨」による加工が主流であったが、研磨材の交換頻度の高さや、基板全体の均一な平滑性を保つことの難しさが課題となっていた。そのため現在では、厚み出しやバリ取りといった目的に応じて、砥石状のペレットを装着したホイール研磨や、不織布・ブラシなどを用いた手法が主流となっている。一方で、特定の加工条件や用途においてはベルト研磨のニーズは今なお根強く、製造現場に不可欠な技術として残り続けている。

さらに昨今では、不安定な中東情勢の影響によって新規の治具板(基板保持用プレート)の調達リードタイムが長期化しており、サプライチェーンの寸断が生産計画の維持を脅かすリスクとして浮上している。

📌 研磨手法の変遷

かつての主流:ベルト研磨/課題:研磨材交換頻度の高さ・均一平滑性の維持困難

現在の主流:ホイール研磨(砥石状ペレット)・不織布・ブラシ

現在も残るニーズ:特定条件下でのベルト研磨需要は根強く存続

PolishingHub参画企業 取材レポート

■ 理研コランダム株式会社

いまだ根強い需要を持つベルト研磨領域において、理研コランダム株式会社のブースでは、アルミナや炭化ケイ素(SiC)の既存ラインナップに加え、新たに「仕上げ専用」として開発されたコルク粒子配合のベルトペーパーが披露された。

展示物_コルクベルト
(画像=展示物_コルクベルト)

このコルクベルトは、通常のベルト研磨を行った後の最終仕上げ工程で真価を発揮する。弾性を持つコルク粒子がクッションの役割を果たすことで、ワークへの追従性が高まり、同じ番手(粒度)の通常ベルトペーパーと比較しても過剰研磨を防ぎ、極めて滑らかな仕上がりを実現する。顧客が求める要求番手に応じた柔軟な製品提案体制も整っており、製造現場の細かな品質改善ニーズに即応する姿勢が印象的だった。

🔍 コルク配合ベルトペーパーの特長
対象工程ベルト研磨後の最終仕上げ
核心技術弾性コルク粒子がクッション役割を果たし、ワークへの追従性を向上
メリット同番手の通常ベルトと比較して過剰研磨を防止し、極めて滑らかな仕上がりを実現
提案体制要求番手に応じた柔軟な製品提案が可能

👉 理研コランダム株式会社の技術詳細・企業情報はこちら

理研コランダム製品・ベルト研磨

Polishing Hub

理研コランダム株式会社─「信頼と実績を誇る」理研の研磨布紙

polishinghub.jp


■ ジャブロ工業株式会社

ジャブロ工業株式会社は、プリント基板を製造する際に不可欠な「治具板の精密再研磨サービス」を提案し、多くの来場者の注目を集めていた。

積層治具関連展示物

中東情勢の悪化に伴い、新規の治具板が入手困難になっている製造現場が増加している。同社はこの地政学リスクに対し、摩耗・劣化した既存の治具板を独自の超精密研磨技術によって再コンディショニングし、新品同様の保持精度へと蘇らせるサービスを展開。時代背景と現場の困りごとに完璧にマッチした、持続可能なサプライチェーン防衛策として高く評価されている。

📌 注目ポイント:新規調達難という時代背景と現場の困りごとに直結した「治具板延命」サービス。持続可能なサプライチェーン防衛策として、製造現場から強い関心を集めた。

別枠取材レポート(周辺工程・最新テクノロジー)

■ シライ電子工業株式会社(別枠取材)

シライ電子工業株式会社は、自社が長年培ってきたプリント基板製造の高度なノウハウを生かし、独自開発のプリント基板外観検査機を展示・販売している。すでに世界で1,200台以上の確かな販売実績を誇るトップクラスのシステムだ。

装置の展示物

今回の展示で特に注目を集めたのは、製造工程におけるコンベア搬送時のブレ軽減システムである。基板をコンベアで搬送するなかで、洗浄や研磨など複数の工程を精度よく行うためには、搬送時の微細なブレを排除しなければならない。同社のシステムは、カメラで検知した基板の位置情報をリアルタイムで処理し、ロボットによって自動で位置を精密調整する。これにより、ライン全体の処理精度を劇的に高めることに成功している。

📊 シライ電子工業 実績・技術ポイント
世界販売実績1,200台以上
位置検知カメラによるリアルタイム処理
補正方式ロボットによる自動精密調整

👉 シライ電子工業株式会社 公式サイト

半導体産業展における技術動向

今回の半導体産業展は東京ビッグサイトでの第1回開催となり、九州で2回の開催実績を持つ同展示会が初めて東京へ進出した注目のイベントだ。JPCA Show全体では約400社が出展する中、半導体産業展には累計53社が参加し、研磨・加工関連の装置および消耗材の展示が多く見られた。

化合物半導体向けの砥石も展示されており、表面研磨とエッジ研磨の両立を強みとする製品を確認できた。SiCといった化合物半導体はシリコンに比べて硬度・脆性が高く加工難易度が高いとされるが、各社がその対応に向けた技術開発を着実に進めていることが伺えた。プリント基板製造の研磨工程とも方向性が重なる部分があり、今後の技術動向として注目していきたい分野だ。

プローブカードの展示
検査工程に使用されるプローブカードの展示も見られた

📊 半導体産業展 概要

会場 東京ビッグサイト(第1回東京開催)
JPCA Show出展 約400社
半導体産業展参加 累計53社
主な展示 研磨・加工関連装置および消耗材、化合物半導体(SiC等)向け砥石など

まとめ

JPCA Show 2026の取材を通じて、プリント基板製造の現場では、研磨材の最適化や治具の延命、そしてロボットによる搬送位置の自動制御など、時代の変化と地政学リスクに即応した柔軟なサービス展開が加速していることが強く実感できた。

各社が提示したソリューションは、単なる作業効率化にとどまらず、製造業の歩留まり改善やサプライチェーンの強靭化に直結するものである。PolishingHubでは、今後もこれら「磨く」技術と周辺自動化テクノロジーの最新動向を追い続けていく。